法や規制は少なければ少ないほどいい…と思っている。なぜそう思うようになったのか? 放蕩無頼の海の民のDNAのせいかもしれない。とにかく面倒なのは嫌だ。
鹿児島県公安委員会から「お知らせ」が舞い込んだのは随分前のことだった。しばらく放っておいたが、だんだんと日が経つ。どうにかしないといけない。
あらためて「お知らせ」をしげしげとながめた。区分は「優良」。
今までと違う。しかし、前が特に悪かったわけでもない。
車の機関の特性を慮って少し余分に燃料をくれてやった。ふかした方が走りに無理がなく、人影も横筋もない、見晴らしのいい道だった。
と思ったのが間違い。
人影はなかったが、隠れている人がいた。おかげで、“不良”扱い。こそこそ隠れて人の嫌がることをやるのが不良かと思うと間違いで、この場合はやられる方が不良。
過去5年間といえば、この間に車一台を廃車にしている。居眠り運転である。 運転しながら居眠りしたのではない。眠りながら運転した。これ以上の不良はない。
目がさめたら車窓の風景は停止し、前輪がひしゃげていた。山道の自損事故で、車にはすまないことをしたが、他にだれも迷惑をかけていない。あえて不良の申告をしなかった。
このところは一周道路の延長が2㌔しかない島暮らし。
もうじき走行14万㌔になる軽ボンゴをだましだまし、くねくねした道をノロノロ走る。スピードもだせない。信号無視をしたくても信号がない。そんなわけで「優良」。
30年前に初めてトカラに来たとき、ナンバーをつけていない車が多かった。運転者が無免許だったかどうかは確認していないが、車の方は無車検に違いない。
鹿児島中央警察署の駐在所は、そのころも中之島にしかなく駐在さんが独り。独りでトカラ全島を管轄し、たまに他の島も見回る。
そんなときは船がつく前に島内放送があったという。「駐在さんが来るので、ナンバーの付いていない車は道にでないように願います」。
不都合はなにもなかった。法治国家とはいいながら放置してもらったままの方が暮らしやすかった。
さて、話は免許だった。私の「更新申請できる期間」の項目には「平成23年3月4日まで」とある。随分と放置したと言ったが、まだ1カ月以上もゆとりがある。しかも奄美警察署でも受け付けるという。
鹿児島市まで行くのには船で片道12時間半、船は暗くなってから着くから泊まりがけになる。奄美なら3時間半ですむ。警察も粋なはからいをするようになったものだと感心した。
これがぬか喜びだった。船の便を仔細にあらためると、名瀬便はすべて土曜日、おまけに2月中旬からは「フェリーとしま」がドック入りして、代船は2便とも宝島折り返しで名瀬までは行かない。その前に受け付け時間も合わない。
もともと、名瀬署扱いはトカラ南部の島民を想定したものではなかったらしい。急遽、鹿児島詣での日程を考えないといけない。つかの間の夢を見させてもらっただけ。
……それにつけても、見果てぬ夢。ダテナオトさんが菅さんに代わって総理大臣になって、小宝島を道路交通法適用外、あるいは特別区にしてくれないものか。
遊園地並みの道しかない島なら遊園地扱いにすればいい。時速30㌔以下の電気自動車やさまざまな軽車両を自己責任で動かす…。お遊びと金儲けのために許されていることを、島の暮らしのために認めることはできないものだろうか。
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