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サン婆の無限軌道

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DSC03556.jpg   サン婆は去年のうちにくたばると、みんな思っていた。 それが、くたばりそこないの人間の爺といっしょに年をこしてしまった。 

正確な誕生日は分からないが、この3月までには満19歳になるはずである。


全盲全聾になって久しい。 頼みの嗅覚も衰えた。 

外に連れ出すと、方角を定めず鼻の向いた方に突っ走ろうとする。 リードが足に絡まっても、自力でほどくことができなくなった。

アホがふたり、爺とサン婆がリードの端と端でつながっている間はいい。 

庭に繋ぎっ放しにすると、いっときでも目をはなすと足をぐるぐる巻きにして身動きができなくなる。


ロープを張ってリードを上からぶら下げる方法は何度か試みたが、それでも絡ませてしまう。 試行錯誤を重ねた挙句、ようやくたどりついたのがリードを棒にするやり方。 


これだと地面に這わせたホースにつけても絡まない。 動ける範囲も広い。

 
リードに代わる「盲導棒」 は細いビニールパイプの中にワイヤーを通し、両端に撚り戻しの金具を付けた。 ゴムホースにはスライドしやすいようにワッカを付けて撚り戻しをつなぐ。 これにより行動できる範囲は格段に広がった。

サン婆には仕掛けの造作は見えない。 リードと違う抵抗感を感じているはずだが、気に入っている様子で一日中、余念なく動き回っている。 


動きの基本は時計と逆回りの円運動。

婆自身はまっすぐに歩いているつもりかもしれない。 もし周回しているという認識があるなら、果てしない螺旋の道を回って回って天に昇る心持ちなのかもしれない。 

そう思いたいくらいに一心に動いている。

 

おかげで足が強くなった。 外に出て散歩しながら四肢のうちのどれかがカクンときて、躓きそうになることもなくなった。




人間の爺の方は紐でつないでも棒でつないでも動かない。 

もし螺旋周回するとすれば、時計回りに回って地の底に下降していくに違いない。 

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