じじらぎ

« 夏の海    天文館の朝 »

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

樋之口

6日(月) 午後11時50分発の「フェリーとしま」に乗った。 10日あまりの鹿児島滞在だと思っていたが、実際には先々週の金曜日に鹿児島入りしている。よほどペースをおとして暮らしていた。

船に乗る前に樋之口町 (てのくちちょう) の居酒屋に寄った。ここにも不義理を重ねている。

生きていたことの申告を済ませて、カウンターに座ると、女将が焼酎の五合瓶を出した。 

瓶には、探す時に便利なように下駄の絵を落書きしておいた。近くに住んでいて、着流し下駄ばきで通っていたころの名残。

キープした日付は2月になっている。 5か月も前…と思ったのは、まだ甘かった。 良く見ると「08」 と書いてある。我ながら判読の難しい汚い字だが、「09」 にはどうしても読めない。 

2月でも存分に古いけれども、去年の日付。本物の下駄ならすりつぶれている。 

この店は一視同仁、客をわけ隔てしない。女将は客を姓、または姓の短縮形に「ちゃん」 付けで呼ぶ。客もそれにならう。

私のここでの通り名は本名と違う。最初に名乗ったときに、女将が聞き違えた通りの名前になってしまった。今では本名を知っている人も知らない人も、間違ったままの名で呼ぶ。

ついでながら樋之口は湧水を町なかまで樋(とい) でひいていたころの、くみ出し口のこと。井戸端とでも呼べば分かりやすいのだろうが、井戸じゃないから樋之口。

トイノクチをテノクチというのは鹿児島語式の訛(なま) り。今はテノクチが正式町名なっている。

女将はタイノクチという。これは間違い。

魚の鯛も、桶(おけ) より目立たず黙々と働く樋も、訛れば同じ。いずれもテになる。 元にもどすときに全部タイで片付けると、話が通らない。

自分の名前はどう呼ばれようと構うことはないが、地名町名が粗末にされるのは困る。そういえば、樋之口の上手の水源に当たるあたりには冷水町(ひやみずちょう) という町名があった。

鹿児島の旧市街は、ほとんどが寺社と武家屋敷だが、ここいらは商家につづいて職人が住んだという。鯛よりも鰯、ガランツの類が似合いそうな町。

船に乗るまで、井戸端会議の雰囲気を残した居酒屋で過ごした。たまにきて、クドクドとお説教をしたのに下駄の更新も認めてもらった。



関連記事
COMMENT
COMMENT FORM
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASS 管理者にだけ表示
TRACKBACK
TB URL : http://jijiragi.blog105.fc2.com/tb.php/251-1f756a56
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。