じじらぎ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

トカラって何だ?

トカラ列島というのは妙なところである。 トカラ列島とは?…という問いを発して、キチンとした答えを得るのはむずかしい。



鹿児島市にある十島村役場の村長さんはじめ役場職員からも回答は得られないだろう。この人たちにはもともとトカラ列島、および列島の住民の暮らしぶりに関心のうすい傾向がある。

村は時におうじて当世の著名人、学識経験者などに声をかけて知恵をたまわる形式をとる。しかし、そんな先生方に“トカラって何だ?”という問いの模範解答を求めても、おそらく満足のゆく答えは出てこないだろう。


30年まえに初めて島々を訪れ、3年前から住みついている爺ぃだってまともに答えられない。

だいたいトカラ列島の漢字表記からして分からない。 使い心地の悪さ、由来の不確かさをあいまいにしたまま口へんの漢字3文字が流通している。

妙にものものしい。もったいぶっているだけでなく、この島嶼域に関心をもとうとする動機、いささかでも理解しようとする熱意と志を、のっけから拒否する冷たい字面である。



「十島村誌」(平成7年発行) によれば、トカラにかんする記述でもっとも古いのは西暦659年。 「日本書紀」 に「吐火羅人……大和にくる」 という記録があるという。

トカラ列島は火山の島々の連なりだから漢字表記したければ「吐火羅」 でいいようなものだが、村が出す観光案内の刷りものなどでは無視されている。ここでの表記は「吐●喇」。

「か」 の字が伏字になったのは私のコンピューターの文字盤にない漢字が用いられているためである。口へんに「葛」 という字。どうして、こんなややこしい字まで動員して難しい表記にするのか分からない。

事をあいまいにし、分からないままにしながら、なぜかこの表記がいちばん使われている。3文字とも口がつくのに、島民はなぜか口出しを控える。



口へんの漢字は辺地、辺境の意味合いを含む…という説がある。古い話だが、大隅の郡名「曽於」も以前は2字とも口へんがついていた。この口をとることに情熱をかけた人がいて「噌●の口をとる」という本まで書いている。

若い頃の爺ぃもこの本の寄贈を受けた。それを目をとおさないまま積んでいるうちに散逸した。 人さまの書いたものを粗末にしてはいけない、と今ごろになって悔やんでいる。



トカラは実は地理的な位置の特定も流動的で、一筋縄ではいかない。 この島嶼域は時の権力との距離、関係も定まらず歴史は劇的である。

おそらく、どこからも異論がなさそうなのは1点だけ。 大雑把、かつ常識的なくくり方をすれば、大昔から日本の国土の一部であった。

先のことは分からない。しかし、少なくとも過去においては、近隣の諸国が領有権を主張してモメたことはない。



だからニッポン。なぜかニッポン。 小宝島では先の戦争で負けたのを知らされたのは8月15日から8日たったあとだったという。

それでもニッポン。 島の若い者が徴兵され、銃後もそれなりに戦った。

米軍の戦闘機にとっては帰りがけ、行きがけの駄賃の遊び半分だったのかもしれないが、生身の人の頭上から弾雨が降り注ぐことがあった。死傷者も出ている。小宝島の島民は上空を過ぎる爆撃機の編隊の影におびえ、珊瑚礁の岩穴にかけこんで息をひそめた。


人口わずか620人余の村。役場の職員さえも管内に住みたがらない辺遠の島嶼域。 小宝島など、物理的にも比喩的にも、いつ波に呑まれてなくなってもおかしくない。

それがニッポンであることが、さいきん稀有のことであるような気がしている。 地政学、宇宙論など、手に余る厄介な問題をつきつけてきそうな…。


話が長くなるだけでなく、おそろしい領域にまで踏み込むのを避ける工夫が必要になる。 続きはいずれ、それも近未来に、人を惑わすような妄言をつづらないといけない。

関連記事
COMMENT
COMMENT FORM
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASS 管理者にだけ表示
TRACKBACK
TB URL : http://jijiragi.blog105.fc2.com/tb.php/408-ceb75125
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。