じじらぎ

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死者と勇者

∇…006 ∇…008     雨があがらない。奄美地方の梅雨入り宣言から2カ月がとうに過ぎて、末期特有の豪雨と雷鳴の日々。ここらあたりは一年を乾季と雨季に分けた方がぴったりするのかもしれない。

日本の四季をあきらめ、熱帯並みに雨季乾季の二つに大雑把に“仕分け” する…。それであたりを殺伐とした風景にするかどうかは、暮らすものに日本人(ヤポネシアン) の心があるかないかの問題ではないか。
小宝島で3度目の梅雨。去年、おとどしは長雨に悩まされたという記憶がない。カラリとして島では梅雨も形だけのものと思っていたら、連日の雷鳴と豪雨。

5月以降の雨量はいつもの年の3倍はゆうにある…という人もいる。島の畑も田んぼ状態になって植えたものは根ぐされ寸前。会う人ごとに「どうにかならないか」 という悲鳴に似た声をかわす。パパラギ菜園のピーマン、トマト、ニガウリも水っぽくて味がのらない。


その代わり、良いこともあった。珊瑚礁の痩せた石ころの土で植物が育つ。

表の写真はその一部。挿し木でついた薔薇(ばら) と右は種別不明。アボカドの種を埋めておいたら、それらしいのが芽をだした。

玄関わきの石ころだらけの陽だまり…。広さは文字どおり1坪ほど。

庭との境目に香水萱(こうすいがや=レモングラス)、まんねんろう(ローズマリー)。鉢を脱出した虎の尾(サンセベリア)、浜撫子(はまなでしこ)、ハンダマ(水前寺菜、金時草)、三つ葉、唐芋(からいも=さつまいも)、薄荷(はっか=ミント) などがせめぎ合っている。

痩せた狭い土にいろんな植物がひしめいて破局にいたらないのは、とっつきに水道栓があって、毎朝、毎夕目をかけているせいか? 

年増のめかけは艶っぽいのが相場だが、草木は水かけより目かけで元気がでる。“肥え”はかけないかわり声をかける。声かけには心得が必要で、人がいないの確かめてからにしないと、ついに気が狂ったか、と思われる。

ものは考えよう。確かに露地には違いないが、鉢と同じようなものとみなせば、盆栽並みの丹精をこめているのと同じことかもしれない。


挿し木の適期がいつなのか調べたことはないが、水やりの手間が省けるという程度のテゲテゲ(大概々々) な心がけで梅雨どきに色んなものを挿し木してきた。自己流でやってみて、3分の2ぐらいは根づく。


島での成功率はやはり落ちる。珊瑚礁のあらい土という条件のうえに、旱魃(かんばつ) にちかい日照りがつづく。加えて潮風、乾燥、猛暑、塩害、強風。いったん根づいたものが力尽きることも珍しくない。

口之永良部から送られてきたブルーベリーの苗6本は、はじめ勢いが良かった。それが2年目になって枯れはじめ、気が着いたら全滅していた。


早合点して喜ぶわけにはいかないが、最初からあきらめていては何も面白いことはない。その点、ことしは良い。かなりのものが根を張って若葉をだしてきた。

なかで意外だったのは薔薇と桜。育ったのはくだんの“露地鉢” である。もとは珊瑚礁だった礫(れき=石ころ・石粒) とカラムシ、クサギの根が分かちがたく絡み合って土のようなものの構成する。

これに干渉できる雑草はなまなかの奴ではない。ヨモギ、高麗芝、カタバミの類。カタバミは在来種のほかにバクダンと呼ばれる外来の侵略者もいる。ただのバクダンではなく暴虐・非人道の極のクラスター爆弾。

そんな土とも言えない、堅い礫の隙間に挿し木が根づいた。

∇…007  ことし挿し木を試みた種で、着床をはっきり確認できたものは桜2本、薔薇が2本。レモン1本。生死不明、というより諦めた方がよさそうなものもあるから合計では5勝3敗2引き分けか…。

ダメでもともとのつもりが、今のところは勝ち越し。この先、夏場を乗り切れるかどうか未知数だが、とにかく劣悪な条件のもとで生きようとする勇者には敬意を、死者には哀悼の意を表さねばならぬ。

苗で持ちこんだブーゲンビリアも5本が活着した。鉢の2本もそのまま勢いをたもっている。これが着けば島の博物学者Hさんの“お褒め”を期待していい。この人、ブーゲンビリアの招致導入を何度も試みて失敗してきたという。


桜と薔薇も島内では見ない。かんきつ類は庭木のキンカンのほかには果樹らしい枝ぶりになった木は竹の山の崖の岩の下にある岩下さんの畑に1本あるだけ。

実はパパラギの裏の菜園では苗でもちこんだユズ、レモンが頑張っている。来年あたりから実をつけるかもしれない。



まんねんろう(ローズマリー) は宿の前の鳥刺し小路に短ビッシリ挿し木して、道の両脇に55本が根づいた。この香木には挿し木の実績があって、かなりのものが夏を乗り切れると楽観している。

ここには仏桑華(ハイビスカス) 10本近くも挿し木した。去年挿し木したものは、すでに2本が花をつけた。

もっと植えたいのだが、道に近いところに仏桑華が繁ると足もとが見えにくくなる。ここは通学路で、ハブが潜んでいるのに気付きにくいのは困る。

それで、道ぎわのところは見通しをあまり妨げないまんねんろうがよかろうと考えた。これには虫よけ効果もあるというが、未確認。最低限、カラムシ、クサギ、ヨモギの侵略を多少とも退ける効果は期待していいだろう。

アダンの自然林が迫るところにはアコウや名前が分からない照葉樹類を挿し木してある。葉に鋭い棘があって扱いにくいアダンに少し後退してもらおうという心づもりである。


アコウはあまり珍重されないが、実は扱いやすい木である。幹が柔らかくて剪定しやすい。

これに比べるとガジュマルは手ごわい。1本繁るとあたりをうっそうたるジャングルの様相に変え、いかにも暗い。

ほんとうは、ジャングルとも違っていて幾重にも降ろされた気根やひげ根の下には他の草木は育ちにくい。杉と似ていて排他的、独善的なところがある。

言ってみれば、一緒に暮らす相手としては存在感がありすぎて、煙たいばかりの頑固爺ぃ。私が言えた義理でもないが、そんな難物は身近にいない方が安穏に暮らせる。

念のため、ガジュマルを嫌いなわけではない。ひと様の庭に生えている分にはなかなかに風情がある。

ただ、行きずりの観光客に迎合して無理して芝居じみた風景をこしらえようとは思わない。宿屋の三助風情の分際ながら、普段の暮らしを大事にしたいという根性を捨てきれない。
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