じじらぎ

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葬列

シェークジ(細工司) の遺骨が墓に納められた。家から墓所までは百㍍そこそこの距離、そこを直属の親族7人が葬列をつくって歩く。喪服にあらためた人の列が無言のまま、人気のない道を行く。
束ねた竹笹を振って7人の列を先導するのは白装束の法衣にあらためた神主役。この人も親族で甥にあたる。

言うべき言葉はない。それだけの、しめやかで厳かな葬列。




30年前に平島で見た葬列は、棺をかついで通りを行くものだった。当たり前ではないか、と言われそうだが、昔ながらの野辺のおくり、土葬である。

葬列を見送って夕刻になって、ネーシ(巫女) をつとめていたというお婆さんがガジュマルの木の下で涼んでいた。のんきなおしゃべりのあと、声をあらためて忠告をしてくれた。「暗くなったら外を出歩くな」 という。

その日の仏さまは小学校に上がる前の男の子だった。自分がどうなったのか分からないで、わあわあ泣きながら通りをさまよい、出遭った人にとりつくのだという。

そういわれれば、当時の私は、棺の前を号泣しながらふらふら歩いていた死者の父親と同年輩だった。


島にいると霊が語ったり、とりついたりするといった話が不思議な説得力をもつ。ありえないことだが、あってもいい、という気分になる。



その晩は、よんどころない事情があって出歩いた。おさない亡者の泣く声は聴こえなかった。あまりにも鈍くて、泣き声さえ聴こえないままとりつかれたのであれば、あるいは有り難いことなのかもしれない。
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