じじらぎ

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潮風

カメラが壊れた話をしたら「千歳人」という人から親切なアドバイスをいただいた。テキは塩分ではないか…という。

然り。トカラの小宝は塩漬けの島。高濃度の塩分と厭分を含んだ風に適応しないとサバイバルできない。
夕方、耳が聞こえず目も見えない老犬、サン婆の散歩につきあう。首輪に繋いだ紐(ひも=リード) の端を爺がもって老々介助、あいみたがいの同道散歩。

一本の紐の片方に死ぬという自覚のない18歳の老犬が繋がれている。紐のもう一方の端には、何度も死にそこなって生きている自覚に乏しい老人が繋がって、同じ道をゆく。

トカラの小宝島の道は狭い。紐に繋がれた婆と爺の姿を認めると、向こうから来る人も車も停止する。

止まるだけなら良いのだけれども、見てはいけないものを見たような顔をしている。


なぜ、そんなギョッとした顔をしているのか、聞いてみたいのだが、聞くわけにいかない。

おそらく、小宝島の風景に合いすぎるのか、合わなさすぎるのか。そのどちらか。


最近は死にかけていたサン婆に元気が出てきて、紐でつながるのをやめた。ヨタヨタ歩きの爺がついて行けなくなったのである。

それで、紐をはなした。婆がひきずるままに任せ、爺は自転車に乗って追いかけていくことにした。

めくら犬のサン婆はズンズン歩く。だんだん勢いがついて、興が乗るとめくら滅法に駈けだす。爺は必死に自転車をこいで、紐の端を追っかける。


婆が休息をあたえてくれる場所がある。

海の見えるところ。そこまで来ると婆は立ち止まり、ジッと水平線のかなたを見る。 見えない目でニライカナイのあたりを見はるかす。 

天然記念物・トカラ犬の、神々のふるさとの遙拝。朝いちばんに拭いてあげたはずの目には、またもヤ二がこびりついているとはいえ、なにやら荘厳な景色。



……インチキくさい、こけおどしの話になった。

とにかく、爺婆は天気の悪いのに外に出て、塩漬けになって帰った。台風9号は直撃を控えてくれたらしいが、波風は夜に向けてつのるという。



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