じじらぎ

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雑草園

新しい寓居は、平成の大合併とかで鹿児島市に編入された旧鹿児島郡吉田町にある。一帯は県道から東側に向けて落ち込んだ窪地で、その斜面の一角。どうやら山城の一部であったらしい。

城の名残があるわけではない。郷土史をめくってみても特段の記述はない。ただ、小字名から推して、どうやら大字の「本城」につづく防衛の拠点があったのではないかと想像している。

上町(かんまっ) と呼ばれてきた鹿児島市の旧市街にその典型をみることができるが、防衛の拠点として構築されたところは居住性が悪い。軍事優先で、後の世に3LDKの民家や「マンション」がひしめくことは想定していない。

吉田の寓居は、農地にも不向きなところを50~60坪に区画をもうけて「ミニ開発」が行われたところ。家主さんは方位方角、風向きなどには頓着しない人だった。前の居住者がもてあました中古住宅を、安いつもりで衝動買いしたらしい。

住んでみると面白くない。隣に乱開発して売れ残った空き地があって、それを庭として買い足して安堵した。その結果、庭が家の北にあるという妙なあんばいの家になった。この庭は人さまには「菜園」などと言っているが、実態は雑草園。

庭木らしきものは友人が持ち込んだシャラの木、ヒバ、外来の観葉杉ぐらい。狭いところに樫や肉桂、桜、柑橘類、椿類、柿、葡萄、グミ、リンゴの木などがひしめき、真ん中の空き地には下生えの雑草と食用植物がせめぎ合う。すさまじい生存競争の世界が現出した。

蓬(よもぎ)や蕗(ふき)は、ここでは有用植物の扱い。蕗は近くの土手からわざわざ移植した。タラは植木屋から買って植えたが、蕗の根を掘り取ったところよりももっと近い土手のあちこちに生えているのに後になって気づいた。

念のため、この庭は雑草雑木の育種、繁殖を目的として設けたのではない。天然自然のなりゆき。雑草の勢力をいくらかでも殺ぐためにハーブ類や実のなる木をいろいろ植えてみた。その結果、ハーブや果樹まで雑草にみえる趣になった。

いかんせん、家主はもちろん、鍵を預かった庭守りの小生も留守がちである。手をかける暇がないことは初めから分かっていた。野菜の種をまき、苗を植えてみる。そこまでは殊勝だが、本格的に客土し、舐めるように草を抜くなどということは考えなかった。雑草のなかで野菜を育てようという大いなる野望!


最初はカヤ、セイタカアワダチソウ、スギナの寡占状態だった雑草種も多彩になった。何十年もの間、土のなかで隠忍自重していた少数派の雑草もよみがえった。出来ごころで草取りなんぞやると、せっかく育てた山椒の葉や葉物野菜が虫の猛攻撃をうけることもこの庭が教えてくれた。

植物種がこれだけひしめき合った区画は近辺では見当たらない。おかげで蝶や蜘蛛、トカゲ、鳥類が寄ってきて小動物の生態も豊かである。

結構といえば結構な話で、家主と怠け者の庭守りはそれでよしとしていた。 しかし、ここで教えられたことが二つある。

一つは、菜園づくりの真似ごとをするにあたり省力化はかなりの程度可能であるが、どうしても手抜きできない作業があること。むずかしく考えることはない。当たり前の話。 …収穫である。

もう一つは、わがままと怠けが過ぎるとやっぱり近隣に迷惑をかけるということ。これも当たり前の話で、雑草の種は隣近所に飛んでいく。大木は隣家の庭に翳をつくり、落ち葉をまき散らす。雑草と雑木を植えた張本人は南の島に遁走したきり帰ってこないのでタチが悪い。

これはさすがの家主も気にしていて、隣の人に、邪魔な木は切ってほしいと頼んでいた。柵がないから隣家にとっては南向きの庭という立地である。隣人の立場で言えば、せっかく丹精込めた自分の庭の目前に、雑草と雑木の藪が迫る。

考え治してみると、これは大変に無責任な依頼である。邪魔なものを切れと言うなら、隣人としては全部切り払ってしまいたいのかもしれない。適当に切れ…というのは、ただで庭師を頼むのと同じではないか。気さくな隣人も、合点承知の助…とは言ってくれないままだった。

…ダラダラおしゃべりをしているところに、ヤボな用事が飛び込んできた。急きょ混濁の巷に降りなければならぬ。横着ながら続きは後日。
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